大野結也の広島小説と修道物語

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修道大学の図書館で出会った、ページをめくれない読書家

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修道大学の図書館で出会った、ページをめくれない読書家


大野結也です。修道大学の図書館は、夕方になると静けさが増す。私は取材の帰りに立ち寄った。閲覧席には数人の学生が座っていたが、その中でひとりだけ、まったくページをめくらない学生がいた。彼は本を開いたまま、ただじっと文字を見つめていた。読むのが遅いんです。彼はそう言って笑った。


彼は広島に来てから、読書の仕方が変わったという。以前は速読が得意で、次々と本を読み進めていた。しかしある日、ふと気づいた。速く読むと、何も残らないんですよね。それ以来、彼は一行ずつ噛みしめるように読むようになった。ページをめくるのは、数分に一度だけ。この図書館、静かすぎて、文字がよく響くんです。彼は本の紙をそっと触った。広島に来てから、急がないことを覚えました。


急ぐと、景色も人も、全部見逃すんですよね。彼はページをゆっくりめくった。その音が図書館の静けさに溶けていった。読むのが遅いって、悪いことじゃないんですよ。ゆっくり読むと、世界が広くなる。彼はそう言って本を閉じた。図書館の窓から差し込む光が、彼の机を静かに照らしていた。